プードルの指間炎 原因とスキンケアを中心とした対処方法【小動物看護士執筆】

プードルの指間炎 対処法

執筆者:nicosuke-pko先生

小動物看護士、小動物介護士、ペット飼育管理士

指間炎とはどのようなものか

愛犬が頻繁に足先を舐めたり噛んだりとかゆそうにしている様子を見て、慌てて足先を確認したら赤く腫れていたという場合は、おそらく指間炎でしょう。指間炎は、初期段階では赤く腫れてかゆみがあり、悪化するとそれが痛みに変わり、ひどくなると歩くのも困難な状態になってしまいます。命に関わるような病気ではありませんが、愛犬の生活の質を著しく落としてしまう病気なのです。

指間炎とは、一つの病気のことを表す言葉ではなく、指と指の間の部分や肉球の隙間に生じる炎症の総称です。そのため、指間炎にはさまざまな原因があります。愛犬が指間炎になってしまった場合は、原因をきちんと見極めた上でその原因を取り除き、愛犬の症状にあったケアを行わないと、指間炎を何度も繰り返してしまうことにもなりかねません。

また、指と指の間の状態は、外見からだけではなかなか気づくことができません。そのため、初期の段階で見つけられずに、悪化させてしまってから病院に連れて来られるというケースも決して少なくありません。指間炎の初期の状態で気づくためにも、日頃のスキンケアはとても大切なことです。

今回は、悪化させやすく繰り返しやすい犬の指間炎について、足裏に毛が密集しやすいプードルに焦点をあて、スキンケアを中心に解説していきます。

プードルの特徴

プードルといえば、真っ先に頭に浮かぶのがそのエレガントな容姿、つまり豊かな巻き毛と独特なトリミングスタイルではないでしょうか。現在では、家庭犬として広く普及し、またショー・ドッグとしても活躍しているプードルですが、元々はヨーロッパで鴨猟の際に水中に撃ち落とされたカモを回収するレトリーバーとして作出されたガンドッグでした。プードルの語源は、プデル(Pudel)というドイツ語で、水中でしぶきをあげるという意味です。16世紀のドイツで広く用いられていたようです。

ところが、プードルの原産国はフランスとされています。それは、18世紀のフランスでプードルが特に流行し、現在ではプードルがフランスの国犬に指定されていることによるようです。ただし、フランスではプードルではなくカニシェ(カニ:Cannee=鴨、シェ:Chien=犬)と呼ばれています。

プードルのトリミングスタイルは、猟犬時代の名残です。水を吸って重くならないように、保温が必要な胸や関節部などの毛だけを残し、余分な毛は全て落としたのです。また、尾は下生えに引っかからないように断尾し、頭頂にある長い房状の毛(トップ・ノット)にリボンを結わえるのは、猟師の目につきやすいようにするためでした。モードの国であるフランスは、このプードルのトリミングスタイルにアートを見出し、犬種のトレードマークにまで高めたのです。

プードルは、容姿のすばらしさだけではなく、賢くてさまざまな才能を秘めており、サーカスのパフォーマンス・ドッグ、トリュフを探すキノコ探知犬、アジリティ、オビディエンス、ドッグ・ダンス、トラッキングなどの競技やサービス・ドッグ(盲導犬、聴導犬)、セラピー・ドッグなどとしても活躍しています。

ただし、プードルには脂漏症やアレルギーが比較的多く認められること、また甲状腺機能低下症などによるホルモンバランスの不均衡を原因とした毛周期の異常(脱毛)が多いという側面を持っています。このように、プードルは皮膚トラブルを起こしやすい傾向を持つ犬種だということを意識しておく必要があるでしょう。

なお、プードルは体高により4つの区分に分けられています。最も大きいのが体高45〜60cmのスタンダード・プードルです。次が、体高35〜45cmのミディアム・プードルです。次が体高28〜35cmのミニチュア・プードル。最も小さいのが体高24〜28cmのトイ・プードルです。ミディアム・プードルがプードルの基準の中核となっており、スタンダード、ミニチュア、トイ共に、ミディアム・プードルをそのまま拡大・伸展または縮小した外貌であり、他の特報もミディアム・プードルと同一であることが求められています。

なお、ここでご紹介したのは、FCI(国際畜犬連盟)というベルギーに本拠地を置く畜犬団体(ケネルクラブなど)の国際的な統括団体の基準で、JKC(ジャパンケネルクラブ)もこの基準を採用しています。

プードルの指間炎の原因

一般的に指間炎の原因を分類すると、外的刺激、皮膚病、心理的要因の3つに分類できます。それぞれの分類ごとに、プードルの指間炎の原因を詳しくみていきましょう。

<外的刺激>

犬の足先は、散歩等で直接地面などに触れるため、さまざまな外的刺激を受ける場所です。その外的刺激を犬が気にして足先を舐めるようになり、それがエスカレートして指間炎を発症してしまうことがあります。具体的な刺激の例を、下記に挙げます。

・切り傷

・火傷(炎天下にアスファルトの上を散歩した場合に負いやすいです)

・折れたり伸びたりした爪による刺激または傷

・指の関節の捻挫等の怪我

・足の裏の毛刈りによるバリカン負け

なお、肉球は犬の皮膚の中でも唯一汗腺が存在している部位であり、かつ指の間や肉球の間は常に皮膚と皮膚が密着している部位でもあるため、とても蒸れやすい環境です。また、プードルのように足裏の毛が密集していると、雑菌が付着しやすい環境でもあります。これらのことが、指間炎発症の間接的な要因になっているとも言えるでしょう。

<体質や感染症による皮膚病>

指と指の間だけではなく、体の他の部位にも皮膚炎がみられる場合は、アレルギー体質や感染症による皮膚病が指間にも発症していることが疑われます。指間炎の原因となる皮膚病を下記に挙げます。

・アトピー性皮膚炎

・食物アレルギー

・ニキビダニ感染症

・細菌や真菌の感染症

<心理的要因>

常同行動という言葉をご存知でしょうか。ある特定の行為を長時間繰り返し行う行動のことで、動物園の檻の中の虎が同じところをぐるぐると歩き回っているような行動のことを言います。犬の場合も、何某かのストレスや、飼い主さんの気をひくために常同行動を行う場合がありますが、その中の一つに足先を舐めたり噛んだりする行為があります。足先を舐め続けることで、足先の皮膚バリア機能が低下してしまい、指間炎を起こします。また、掻けば掻く程かゆみは強くなっていきますので、外的刺激や皮膚病といった直接的に皮膚に働きかける原因がなくても、心理的要因で指間炎は悪化していきます。

プードルの指間炎の治療方法

治療には、原因除去と症状への対処と改善状態の維持が必要です。指間炎の発症を認めたもしくは疑いがある場合は、すぐに動物病院で診てもらい、原因を見極めてもらいましょう。そして、外的刺激の原因を取り除いたり、皮膚病の治療を行ったり、ストレッサーを取り除いたりといった治療を根気よく行いましょう。

症状への対処としては、炎症やかゆみ、痛みを抑えるための抗炎症剤(外用薬あるいは内服薬)を投与します。症状によっては、ステロイド剤が処方される場合もあるでしょう。また、細菌感染がある場合は、抗生物質も併用することになります。

そして、薬用シャンプーで雑菌をコントロールします。薬用シャンプーは、その犬の症状により、殺菌効果のあるものや炎症を抑える効果のあるもの、皮脂の分泌を調整する効果のあるものなどを選択します。薬用シャンプーは治療を目的としていますので、一度使い始めたらずっと使い続けるというものではありません。また、シャンプーの浸け置き時間や頻度なども、症状により異なります。シャンプーの選択や使用方法、使用期間などは、常に動物病院と連携しながら見極め、決して飼い主さんの自己判断で使用しないでください。

また、プードルにも多いアレルギー体質の場合は、サプリメントを与えることで体質を徐々に改善していくことも合わせて検討してみましょう。即効性はなくても、長い目でみて効果が出ているという報告も多数みられます。動物病院でもサプリメントを取り扱っているところが増えてきていますので、相談してみるのも良いでしょう。

プードルの指間炎に対するスキンケア

プードルの場合も、通常のスキンケアの流れと同様に、洗浄、保湿、ドライイング、アフターケアの4ステップで行います。洗浄には、通常の皮脂落としと治療目的の処置の2種類があります。この基本的な流れとシャンプーの種類を、指間炎の原因や状態、程度に合わせてうまく組み合わせて対応していきます。

ステップ1. 洗浄

(1) ブラッシングで体全体の毛をとかします。プードルの毛は細く、密集している上に巻き毛なので、毛が絡まりやすくて毛玉もできやすいです。そのままにしておくと皮膚トラブルの元ですから、シャンプーに関わらず、日頃からこまめなブラッシングを心掛けましょう。

(2) 皮膚の汚れの状況に応じて、シャンプー前のクレンジングや入浴を行います。シャンプー前の入浴(5〜15分)は、この後のすすぎも兼ねて行うことができます。

(3) (2)で入浴をしていない場合は、シャンプー前のすすぎを行います。35℃程度のぬるま湯で皮膚と毛をよく濡らします。水流で落とせる汚れはしっかりと落としてしまいましょう。すすぎをしっかりと行うことで、シャンプーを効果的に行うことができるようになります。

(4) 通常の皮脂汚れを落とすためのシャンプーを行います。シャンプーをよく泡立ててから犬に塗布します。犬の体にシャンプーを塗布してから泡立てると、摩擦のリスクがあり、またシャンプーの過剰塗布、皮膚への残留などの原因となる場合がありますので、事前によく泡立てることがポイントです。また、シャンプーを毛の流れに逆らってゴシゴシと洗うと皮膚への刺激となりますので、毛の流れに沿って優しく揉み込んでいくようにしましょう。

(5) シャンプーを十分にすすぎます。ぬるま湯で、シャンプーの時間よりも長い時間をかけて、しっかりとすすぎましょう。特に、指の間や肉球の隙間は、シャンプーが残りやすいので気をつけましょう。

(6) 皮膚のトラブルや指間炎のような部位別の対応として複数のシャンプーを用いる場合は、ここでセカンドシャンプーを行います。基本的なやり方は(4)~(5)の通りです。ただし、獣医師の指導に従って、一定時間浸け置く必要がある場合は、犬にストレスを与えないように工夫しながら実施しましょう。犬の状態によっては、短時間で切り上げなければならない場合もあるでしょうから、指間炎などの症状がひどいところから順に行うことをおすすめします。

ステップ2. 保湿

シャンプーを十分に落とした後は、必ず保湿を行います。犬の皮膚は被毛に守られていることもあり、人の皮膚の1/3程度の薄さしかありません。その薄い皮膚の皮膚バリア機能を守るためにも、保湿はとても重要です。皮膚や毛の水分をできるだけ切ってから、かけ流しやスプレーなどのタイプの保湿剤を、体全体に塗布します。その際、指の間にもきちんと塗布するように注意してください。また、洗浄における最後のすすぎの時に、保湿剤を含んだ入浴を行うのも一案です。

ステップ3. ドライイング

愛犬の大きさにあったバスタオルを複数枚用意しておきます。そして、タオルで水分を除去します。その際、ゴシゴシと擦らずに、タオルで体を包んでおくだけでも十分に水分を除去できます。タオルは、マイクロファイバー製などの、水を効率的に吸収する素材の物がおすすめです。タオルだけでは除去しきれなかった部分については、ドライヤーを使って十分に乾かします。ただし、皮膚や毛にあたる風が高温だと皮膚が乾燥しすぎてしまったり、かゆみが悪化したり、皮膚炎が悪化するリスクが高まりますので、人肌程度の温風になるようによく調整してください。風量も、強すぎないように注意しましょう。また、指間や肉球の隙間に水分が残っていると、蒸れてしまい指間炎を悪化させる要因になりますので、足先もしっかりとドライイングしてください。ただし、ゴシゴシと擦らないように注意してください。

ステップ4. アフターケア

皮膚が柔らかくなっていますので、処方されている外用薬は、このタイミングで塗布するのが良いでしょう。また、ドライイングで皮膚が乾燥してしまった場合は、このタイミングで追加保湿することもおすすめです。最終的に、ブラシで毛の流れを整えて完了です。

プードルの指間炎をケアする際に気をつけたいこと

指間炎は、さまざまな原因で発症します。そして、初期の段階では、外見だけで発見するのが難しいのが現実です。また、足先の指と指の間や肉球の隙間という部位の特徴が、指間炎を悪化させる要因にもなっています。これらを考慮し、指間炎のケアでは、下記のことに気をつけると良いでしょう。

足先のチェック

散歩から帰ったら、必ず足先をチェックして、怪我や火傷をしていないかをチェックしましょう。そして、足先を拭くか洗うかして、しっかりと汚れを落として清潔に保ちましょう。特にプードルは、足裏にも毛が密集しやすいので、注意深くケアをしましょう。また、プードルは水猟犬でしたので、水遊びが好きな子が多いようです。足先が濡れっぱなしにならないように気をつけてあげましょう。

足先を舐めさせない

指間炎を悪化させないためには、とにかく足先を舐めさせないことが重要です。飼い主さんの中にはエリザベスカラーをつけるのは犬がかわいそうだと考える方もおられるようです。しかし、エリザベスカラーの装着は一時的なものです。舐め続けることで指間炎が悪化する方がもっとかわいそうなことだと考えるべきです。

犬にストレスを与えない

皮膚のトラブルや外的刺激が原因ではなく、常同行動である足先の舐めぐせが原因で指間炎になる犬も、決して少なくありません。飼い主さんが良かれと思っていることでも犬にとってはストレスになっていることもあれば、もっと飼い主さんに関心を寄せて欲しいと思っている犬もいるのです。愛犬と飼い主さんの信頼の絆を深め、愛犬がストレスなく安心して暮らせるような生活環境を整えてあげましょう。プードルが特に神経質な犬種だというわけではありませんが、個々の犬によっては神経質な子もいるでしょうから、愛犬の性格を見極めたケアをしてあげましょう。

*参考図書、文献

・『獣医皮膚科専門医が教える 犬のスキンケアパーフェクトガイド』interzoo

・『最新 世界の犬種大図鑑』誠文堂新光社

・『世界で一番美しい犬の図鑑』X-Knowledge

執筆者:nicosuke-pko先生

小動物看護士、小動物介護士、ペット飼育管理士農学部畜産学科卒業後、総合電機メーカーにて農業関係のシステム開発等に携わる。飼い猫の進行性脳疾患発症を機に退職。

 小動物関連の資格を取得し、犬や猫の健康管理を中心とした記事を執筆しながら飼い猫の看病を中心とした生活を送っている。自分の経験や習得した知識を元に執筆した記事を通して、より多くの方の犬や猫との幸せな暮らしに役立ちたいと願っている。