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柴犬の指間炎はなぜ起こる?指間炎の症状・原因・治療法
トリマー 動物看護士
山之内さゆり先生
柴犬は飼い主に忠実でぴんっとした耳にくるんとした尻尾が特徴的ですよね。ここ数年は通常の柴犬よりも小さめの豆しばが主流となっていて、外ではなく室内犬になりつつあります。
そんな柴犬ですが、実は皮膚疾患を抱えやすいことから指間炎も発症しやすい犬種でもあるんです。
そこで、今回は柴犬の指間炎が起こる原因・症状・治療法についてお教えします。
柴犬は皮膚疾患を患いやすい犬種
柴犬は日本特有の犬種ということもあってか、外国犬種と比べて特定の疾患になりにくい印象が強くあります。
これは、日本人が昔から主食としてきたお米と体の相性が良くアレルギーがでにくいと言われているのと同じで、品種改良を重ねて生まれた犬種よりも強いといったところかも知れませんね。
ですが、だからと言って病気にならないわけでははく柴犬も当然病気にはなりますし、比較的なりやすい疾患というのも存在します。
そのひとつが皮膚疾患です。皮膚疾患もアトピー性皮膚炎や食事アレルギーなどさまざまなものがありますが、その中でも指間炎は気付きにくい皮膚疾患だったりします。
柴犬の指間炎が気付きにくい理由
では、なぜ柴犬の指間炎は気付きにくいのでしょうか。その答えは皮膚の炎症を起こす場所にあります。
「体でかゆいところはありませんか?」と聞くと、だいたいの飼い主さんは首や耳の後ろ、体(胴体)を主にかゆがっている様子があるかないかを考えることが多いです。
これは、『かゆみ』というと後ろ足を使ってポリポリ掻いているイメージがから、無意識的にそうした場所のかゆみを連想させるからだと思います。
しかし、指間炎はその文字の通り指の間や肉球の間に炎症が起こる皮膚疾患なので、かゆがっていたとしても後ろ足をつかってポリポリ掻くわけではありません。
そのため、柴犬はかゆくて気にしていたとしても飼い主はなかなか気付かず、動物病院へ行くのも遅れがちになる傾向があります。
柴犬の指間炎の症状
飼い主さんが柴犬の指間炎に気付きにくい理由は、先述したように炎症を起こす場所が指の間や肉球の間であり、なおかつ後ろ足でポリポリ掻くわけではないからです。
しかし、柴犬の指間炎は症状さえわかれば気付きにくいなんてことは決してなく、むしろすぐに気付くことができます。
・指の間や足の裏を舐めたりカミカミしている
・指の間や肉球の間が炎症を起こしている
・指の間や肉球の間が腫れている
・触られるのを嫌がる
指間炎はかゆみを伴うため柴犬は気にして舐めるようになります。そして、かゆみがひどくなるにつれて歯を使ってカミカミ(掻く)するようになったり、舐めたりする時間が増えていきます。
また、症状が進行すれば痒みはどんどん痛みに変わり炎症もひどくなるため、指の間や肉球の間が腫れ触れれるのを嫌がるように。
さすがにここまで進行すると気付かないことはないのですが、できることなら初期の段階で気付いて早めに治療してあげたいですね。
柴犬の指間炎の原因
では、なぜ柴犬は指間炎になってしまうのか?ここが分かれば予防をすることも可能です。
柴犬が指間炎を起こす原因は次のようなものがあります。
・皮膚疾患
・ケガ
・爪の根元の異常
・バリカン負けや違和感
・ストレス
先に柴犬は皮膚疾患を患いやすい傾向にあることをお話ししましたが、そのせいで指間炎も起こしやすくなっています。
また、皮膚疾患以外にもお散歩中に足の裏をケガしてしまったり、爪の伸びすぎで爪の根元が折れかけることで柴犬が気にして舐めるので、指間炎を発症することも少なくありません。
そして、最も身近な原因としてあげられるのがトリミングによる足裏バリカンです。もちろんトリマーもバリカンの扱いには十分気を付けていますが、角度を立てて入れすぎたり急に動いてしまったとき反応が遅れたりすれば刃が当たってしまうことがあります。
また、どんなに注意深くバリカンを当てて皮膚にはなんのダメージがなかったとしても、毛を刈られたことでチクチクや違和感を感じて舐めてしまうことも。
そして、意外と多いのがストレスや暇つぶしで足の裏を舐めて指間炎を起こすケースです。一見外傷やアレルギーのような症状は見られないのですが、ひたすらペロペロ舐め続けることで指間炎へ発展してしまいます。
柴犬の指間炎の治療法
原因はさまざまですが、もし柴犬が指間炎になってしまったらすぐに治療をしてあげる必要があります。
治療が遅れれば遅れるほど炎症が進み症状もひどくなり、傷口から細菌感染を起こすことだって否定できません。
しかし、しっかり治療してあげれば決して怖い疾患ではありませんし、治療自体も難しくないので安心してください。
治療法については次のような方法があります。
・外用薬(抗生剤・抗炎症剤)
・内服薬(抗生剤・抗炎症剤)
・処方食(食事アレルギーの場合)
・他アレルゲンの除去(ノミやハウスダストなど)
・薬用シャンプー
・ストレス解消
症状の状態や指間炎を起こしている原因によっても変わってきますが、まずは細菌感染を防ぐために抗生剤と炎症と痒みを抑えるための薬を使います。
薬だけで治療できるようであればそれでおしまいなのですが、もしアレルギーが原因となっているのであればアレルゲンの除去やシャンプーなども合わせて治療に組み込むことも。
また、ストレスが原因となっているときはたとえ薬を使って治療しても繰り返し舐め続ける可能性が高いので、たくさん遊んであげたりお散歩をしてあげたりしてストレスを溜めないようにしてあげてください。
柴犬の指間炎に早く気付くためにできることと予防法
柴犬の指間炎は気付きにくい傾向にありますが、症状さえ見逃さなければ早期発見・早期治療を行うことができます。
しかし、できることなら指間炎になってしまう前にしっかり予防をして指間炎にならないようにしたいですよね。
そのために大事なことは、柴犬と日頃から触れ合ってコミュニケーションをとってあげることと、皮膚疾患になる確率を減らしてあげることです。
コミュニケーションをとることでちょっとした変化にも気付きやすく早い対応ができるようになりますが、皮膚疾患の確率を下げるためには毎日の食事がとても大事になります。
もちろん、ノミダニ予防をすることでも皮膚疾患になる確率を下げるのですが、体の内側から健康を維持して皮膚の抵抗力を強くしてあげなければ、ちょっとした刺激にも弱くなってしまうのです。
人間でいうと敏感肌を思い出してもらえるとわかりやすいかと思いますが、敏感肌の人は肌がダメージを受けやすくちょっとした刺激でもかゆくなったり赤くなったりしますよね。
そうしたとき化粧水など外からのケアだけでなく、肌にいいものを食事から摂取して内側からのケアもするとより効果的なのは必然。
それと同じで毎日の食事の質を高めてあげることで皮膚疾患にかかる確率を下げ、同時に指間炎の発症も低くすることができます。
柴犬の指間炎のまとめ
柴犬は日本特有の犬種なので国外の犬種に比べて特別なりやすい病気というものは少ないですが、それでも皮膚疾患は比較的なりやすく痒みに悩まされている柴犬は少なくありません。
中でも指間炎は見つけにくい場所であるため気付きにくく、気付いたときには症状が進行しているような状態なことも。
しかし、できるだけ柴犬が指間炎にならないように毎日の食事やノミダニ駆除予防をすることで発症自体を下げることができますし、仮に発症したとしても毎日のコミュニケーションで触れ合う時間を設ければ早期発見にもなります。
何か特別なことをしなくてもこうしたちょっとしたことで早期発見・早期治療へとつなげることは可能なので、ぜひやってみてくださいね。
執筆者:山之内さゆり先生
トリマー、動物看護士
約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。