ミニチュアシュナウザーの指間炎の原因・症状、治療【メディカルトリマー執筆】

ミニチュアシュナウザーの指間炎について

執筆者:大谷幸代先生

愛玩動物飼養管理士、青山ケンネルスクール認定 A級トリマー メディカルトリマー

ミニチュアシュナウザーはとても賢く、しつけの覚えも早く、家族の言葉も全部わかってる?と感じることがありませんか?

不意に見せる甘えん坊な仕草がなんとも魅力的でしょう。

ただミニチュアシュナウザーは時に、元来のテリアそのものの気質が見え隠れすることもあります。

特に爪切りなど足先に触れられることを極度に嫌がり、中には家族にさえも歯をむき出すこともあります。

でも実はこのような行動の陰に、辛い指間炎が関係していることもあります。

指間炎とは、足指の隙間や足先の皮膚に雑菌が繁殖し、皮膚炎を起こす症状を言います。

症状は

・かゆみ

・あかみ

・湿疹

・皮膚がむける

・脱毛

・痛み

など様々です。

中には歩くことさえ辛いほどの痛みを抱えることもあります。

犬にとって足先は急所でもあり、とても敏感な部位です。この部位に痛みや不快感があるという事は、日常生活に想像以上のストレスを抱えているという意味でもあるので、早期完治を目指してあげましょう。

ミニチュアシュナウザーの指間炎の原因

どうしてミニチュアシュナウザーは指間炎になってしまうの?完治はするの?辛い症状を抱える愛犬を前に不安ばかりが募ってしまうでしょう。

指間炎の症状は人間のあかぎれによく似ています。この症状は辛いものですが、食物性アレルギーと違い適切な治療と生活習慣の見直しで完治することが出来ます。

ではなぜミニチュアシュナウザーが指間炎になってしまうのでしょうか?

日常生活で下記に思い当たることはありませんか?

・散歩から帰宅した時は足を洗う

・散歩から帰宅した時は濡れたタオルで足を拭いている

・雨の日や雨上がりの散歩後でも足は拭かない

・自宅でシャンプーをしている

・長時間留守番をさせている

・運動不足気味

日常のこのような点が指間炎の原因になっています。

指間炎とは皮膚や被毛が湿り気を帯びた状態が続くことで、雑菌が繁殖し起こる炎症です。湿り気と体温による温度で雑菌の繁殖に適した環境が指の間で出来上がってしまうことで起こります。

湿り気の原因は濡れた後の生乾きはもちろんのこと、愛犬が足先を執拗に舐めることの唾液も原因になります。

また中には先天性の体質で皮脂の分泌が多く、指間炎になるケースもあります。

例えば

・外耳炎の症状が長引く

・皮膚や被毛にべたつき感がある

・アレルギー体質

・体臭が強い

という場合、皮脂分泌が過剰な体質が関係していることも考えられるでしょう。ただこの過剰な皮脂分泌はミニチュアシュナウザーに多くみられる体質でもあるので、過度に不安を抱く必要はありません。

指間炎の発症原因は様々あるものの、多くの場合に湿気、湿り気が関係しているので、散歩後の足拭きや自宅シャンプー後は完全に足先、足指の間まで乾燥させてあげましょう。

 指間炎になりやすいミニチュアシュナウザー

ミニチュアシュナウザー同様に指間炎を発症しやすい犬種に

・シーズー

・ウエストハイランドホワイトテリア(ウエスティ)

・コッカー

・トイプードル、プードル

・キャバリア

などを挙げることが出来ます。指間炎は生乾きや雑菌が原因となるので、どの犬種でも一定の発症リスクはあり、無縁な犬はほぼいません。

でも上記の犬種は、他犬種に比べ皮脂の過剰分泌が目立つことから、より発症リスクが高いと考えてあげましょう。

愛犬が頻繁に足先を舐める場合や足先に過度に過敏になる場合、痛みを訴える場合は動物病院を受診してあげましょう。

指間炎の治療方法

辛い症状の改善には

・医学的な対処

・生活習慣の見直し

の2つが必須条件です。

まずは患部の炎症を解消し、傷口を治すことが先決です。そのためには動物病院を受診し、炎症止め、化膿止め、殺菌薬などの抗生物質の処方を受けましょう。症状に応じて飲み薬、塗り薬の処方がされます。

処方された薬は必ず指定された期間飲ませることが大切です。飲み薬を愛犬が嫌がる、足先に触れられることを嫌がり塗り薬が塗れない・・・このような場合は家族だけでの解決をと考えずに動物病院に相談をしましょう。

また足先を舐めてしまう場合には、エリザベスカラーの着用が効果的です。エリザベスカラーをつけている場合でも食事はもちろん水を飲むことも、横になり眠ることも出来ます。日常生活に不便はあるものの、特段不可能なことはありません。

患部を乾燥させ、薬を服用することでより早期に完治させることが出来るので前向きに考えてあげましょう。

またミニチュアシュナウザーのように体質的に皮脂分泌が過剰になりやすい犬種には、体の内面からのケアもおすすめです。

毎日の食事にサプリメントを混ぜ与えることで、体の内側から機能を整え、バランスを調整します。

もちろん目に見える効果を実感するまでに、サプリメントは時間がかかることもあります。薬剤のような即効性はありません。

でもその分、体に無理をかけずに体調を整えることが出来るので、安心して続けることが出来る点もおすすめ出来る理由です。

指間炎のときに気をつけたいこと

愛犬の不調に気が付いた時、これまでの生活の何を?どのように?改善したらいいのか?と不安を感じるでしょう。

指間炎を患っている場合は

・散歩後の足拭きは乾いた柔らかい布で肉球の表面を軽く撫でる程度で済ませる

・自宅シャンプー後は足指の間の被毛までしっかりとドライヤーで乾燥させる

・雨の日や雨上がりの散歩後もドライヤーで足回りの被毛をしっかりと乾燥させる

・トリミング時には指間炎を患っていることを事前に伝え、バリカンによる刺激を抑えて欲しいことを伝える

という点を心掛けてあげましょう。

基本的には患部を乾燥させることで、雑菌繁殖の抑止につながるという理屈です。

また皮脂の過剰分泌の問題は、毎日の食事に含まれる脂肪分が原因になることも多いので、脂肪分の少ない食事、ドッグフードに切り替えることで改善されることもあります。

 こんなことで指間炎がよくなったソルト君&ペッパー君

ミニチュアシュナウザーのソルト君とペッパー君は同時にペットショップから家族に迎えられた生後8か月の兄弟です。

毎日留守番時間が長くなりがちなことから、寂しくないように、退屈しないようにと兄弟一緒に家族に迎え入れられました。

ただ実はペットショップでの滞在期間が長く、生後2か月からの半年もの間、ペットショップのショーケースで生活をしていたことから、当初から足を舐める癖があったそうです。

ただ初めてのワンちゃんだったこと、兄弟共に同じ癖があったことからご家族もまるで不自然には感じなかったそうです。

ただ2匹とも、足先の毛が薄く、地肌が見えていることだけは気がかりだったと・・・

実は2匹ともに頻繁に足を舐めることで指間炎を患っている上に、外耳炎も発症し、被毛もべたついています。

2匹の状態を改善するために、トリミングショップの立場からはマイクロバブルで全身を洗浄し、皮膚を清潔にすること、今後の生活において改善すべき点をアドバイスさせていただきました。

指間炎にならないために、予防や日ごろのケアの3つのポイント

ミニチュアシュナウザーは犬種本来のヘアスタイルとして、足回りの被毛を長く、ボリューム感を残すことが一般的です。プードルのように指先を露出させるヘアスタイルには抵抗もあるでしょう。

ただ指間炎の治療という観点から考えた場合、症状によっては一時的に特別なヘアスタイルにすべきことも受け入れてあげましょう。

指間炎を患っている場合、治療中は

  • 足回りの被毛が濡れた、湿った時はドライヤーで根本までしっかりと乾燥させる
  • 獣医師処方の薬は必ず決められた通りに与える
  • 食事の見直しやサプリメントを与えることで体の内面から不調を改善する

という点を心掛けてあげましょう。

ミニチュアシュナウザーはとても賢く、繊細な犬種です。中にはストレスを抱えることで、足先を執拗に舐めたり、自分で被毛を引き抜いてしまうという行動を起こすこともあります。

適度な運動と家族とのコミュニケーションでストレスを予防し、辛い指間炎から愛犬を遠ざけてあげましょう。

執筆者:大谷幸代先生

愛玩動物飼養管理士、青山ケンネルスクール認定 A級トリマー メディカルトリマー

学生時代にイギリスへドッグトレーニングの勉強のため、短期留学。その後、ペットショップ販売員、トリマー、ドッグトレーナー、ペットシッターなど様々な仕事を経験してきた。ホリスティックケアアドバイザーや日本アロマテラピー協会認定アロマテラピーインストラクターなどの資格も取得。ペット関連用品の開発、雑誌などへのコラム執筆を手がけるなど、【犬を飼う生活から、犬と暮らす生活へ】の実現をめざし、幅広く活躍している。