愛犬が皮膚糸状菌症になった時に気をつけたい4つのポイント【小動物看護士執筆】

犬の皮膚糸状菌症について

執筆者:國澤莉沙先生

愛玩動物飼育管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士

飼い主の皆さんは皮膚糸状菌症というワードを聞いたことはあるでしょうか?動物病院の受診理由でも多いのは皮膚病になりますが、わんちゃんがなりやすい皮膚病の一つに皮膚糸状菌症があります。皮膚糸状菌症になると脱毛やかゆみなどの辛い症状が見られます。また、飼い主さんにも感染の危険がある病気です。本記事では皮膚糸状菌症の特徴や治療方法について紹介します。

犬の皮膚糸状菌症の主な症状とは?

糸状菌症とはカビが原因で起こる皮膚病の一つで真菌と呼ばれるカビが原因になります。皮膚糸状菌の最も特徴的な症状は円形に脱毛することです。円形の脱毛はリングワームとも呼ばれ、症状が悪化すると広がっていき、かゆみがあらわれます。かゆみが強くなると愛犬にとって大きなストレスになり、搔き壊しによる二次感染により症状が重篤化する場合がありますので、注意しましょう。

また、人に感染する可能性もありますのでまた、愛犬に脱毛が見られた場合早めに動物病院を受診してみましょう。

犬の皮膚糸状菌症の原因

皮膚糸状菌症の原因は様々ですが、主に免疫力が低下しているときに感染しやすくなります。特にシニア犬や幼犬などの抵抗力が弱い子は感染しやすい傾向にあります。

また、他の病気(甲状腺機能低下など)が原因で皮膚糸状菌症を併発する場合がありますので、愛犬に少しでも異常が見られた場合には早めに動物病院で検査してもらいましょう。 皮膚糸状菌症は免疫力が低下している際に症状として出やすいので、元気な犬が感染した場合は、無症状のことも有ります。不衛生な飼育環境や梅雨時期などの湿気が多い時期には真菌が活発化するので、症状として現れることがあります。発生しやすい部位は四肢の先端、顔・目の周り、 背中、鼠蹊部等です。

ポイントは普段から愛犬の身体の隅々に触れるように慣らしておき、状態を把握しておくことです。初期症状としては円形の脱毛がわかりやすい特徴です。愛犬とのコミュニケーションが密に取れているば、すぐに異変に気付くことが可能であり、早期発見が皮膚糸状菌症を早く治すポイントになります。

皮膚糸状菌症になりやすい犬種

皮膚糸状菌症はポピュラーな皮膚病ですので、全ての愛犬がかかる可能性があります。特に上記で紹介したとおり、シニア犬や幼犬は感染しやすくなりますが、皮膚病になりやすい犬種もいます。

特に皮膚糸状菌症には長毛犬がなりやすいです。被毛に湿気がたまると菌が繁殖するのには好条件であり、特に大型犬はその身体の面積が大きいことから皮膚糸状菌症にかかりやすい傾向にあります。特にゴールデン・レトリーバーやグレート・ピレニーズなどの被毛が密集している犬種は特に皮膚糸状菌症にかかりやすいです。

また、中型犬・小型犬はアメリカン・コッカー・スパニエル、フレンチ・ブルドッグ、シーズー、トイ・プードル、ペキニーズなどがかかりやすいとされています。注意したいのはフレンチ・ブルドッグやペキニーズ、シーズーといった「鼻ぺちゃ犬」は顔のシワにゴミが溜まりやすく、菌に感染しやすいので、定期的に顔まわりを拭いてあげ清潔に保ってあげましょう。

皮膚糸状菌症の治療方法

皮膚糸状菌症と診断された際には身体から真菌を除去する治療が行われます。主な治療方法としては、抗真菌薬の外用薬を塗ります。また、症状が重篤な場合には抗菌剤や抗生物質などの内服薬を処方される場合もあります。搔き壊しなどにより皮膚の炎症がひどい場合には、ステロイドが処方されることもあります。基本的には真菌を除去していき、身体の免疫力を高める治療が行われます。

 

身体の免疫力を高めるためには?

皮膚糸状菌症を改善するためには身体の免疫力をアップさせることがポイントです。栄養価の高いフードを与えて身体の免疫力を高めてあげましょう。特に皮膚糸状菌症にオススメなサプリは「アガリクス茸」を使用した商品です。

アガリクス茸には老廃物を吸着して身体からの排出を助ける効果が高いとされています。また、身体に必要なビタミン・ミネラル・酵素が豊富に含まれており、免疫力の向上に効果が期待できます。人のサプリメントにも使用されているアガリクス茸の豊富な栄養素はわんちゃんにも有効です。

皮膚糸状菌症のときに気をつけたいこと

皮膚糸状菌症を発症した場合に早く治るように気をつけたいポイントをまとめました。愛犬の症状緩和のためのヒントになれば幸いです。

①飼育スペースを清潔に保つ

皮膚糸状菌症を発症しているときには免疫力が低下しているため他の病気を併発する場合があるので、注意が必要です。特に皮膚は他の菌の菌に感染しやすい状態になっていますので、治療とともに清潔に保ってあげることが重要です。皮膚糸状菌症は症状のある愛犬のフケや抜け毛が感染源になります。飼育スペースの掃除、消毒を徹底して清潔に保つようにしましょう。飼育スペースの消毒には次亜塩素酸水が有効です。次亜塩素酸は人のウイルス除去にも使用されているものですが、次亜塩素酸と水しか使用していませんので、わんちゃんが舐めても安心です。

②他のペットや飼い主さんへの感染を予防する

皮膚糸状菌症は 人や他の動物にも感染するズーノーシス(人畜共通感染症)になります。愛犬を薬用シャンプーした時や薬を塗った時にはしっかりと手を洗って感染を防ぎましょう。念のため使用したタオルは別々に洗う方が良いですね。

特に気をつけたいのが、多頭飼いをしている飼い主さんは他の子にも感染する危険があるので、症状が落ち着くまでは発症している愛犬とは接触させないようにしてくださいね。皮膚糸状菌症の他にも共通のタオルやケア用品、食器を使用することで病気を媒介することになります。普段から別々の食器等を用意しての生活することがオススメです。

③薬用シャンプーで皮膚を清潔に

皮膚病のわんちゃんのケアで重要なことは皮膚を清潔に保つことです。皮膚病の治療には薬用シャンプーによる薬浴が用いられる場合がほとんどです。皮膚糸状菌症の薬浴に使用されるシャンプーには消毒効果が高いサリチル酸を主成分としたサルファシャンプー、皮膚病の治療に使用されるクロルヘキシジンを使用したマラセブシャンプーなどがあげられます。

薬用シャンプーで愛犬をシャンプーする場合には、必ず獣医さんの指示に従ってシャンプーするようにしましょう。上記の薬用シャンプーはネットでも購入することができますが、独自の方法で使用するとかえって皮膚の常在菌まで殺菌してしまいさらに皮膚の抵抗力を弱めることになりかねません。皮膚の抵抗力が下がってしまうとさらに皮膚の状態が悪化してしまいます。愛犬の状態にあった回数や薬用シャンプーなどは獣医さんの指示に従って下さい。

皮膚糸状菌症にならないために、予防や日ごろのケアの4つのポイント

皮膚糸状菌症にかかってしまった時の対処方法を紹介してきましたが、できれば日常から予防をしてこれらの皮膚病を避けたいものです。日頃からできる皮膚糸状菌症の予防についてご紹介します。

①ブラッシングをしっかりして換気をしてあげる

日常のケアにブラッシングを取り入れて被毛に湿気がたまらないように換気してあげましょう。被毛のブラッシングを行うことで愛犬とのコミュニケーションがとれて絆をスカめることもできます。また、普段から体の隅々を触ることに慣れさせておけば動物病院での診察もスムーズに行うことが可能です。

なにより、愛犬の皮膚の状態を日ごろから把握しておくことで小さな異常にも気づやすく、病気の早期発見にもつながります。ブラッシングをすることで毛玉を防ぐこともできます。毛玉ができると菌が発生しやすくなり、様々な皮膚病の原因になります。さらにはブラッシングにはマッサージ効果もあるので、皮膚の健康を促して新陳代謝を活発にしてくれ、免疫力の向上にも効果が期待できます。

一点注意したいことは何事もやりすぎは禁物です。ブラッシングは長毛犬でしたら毎日取り入れたいケアの一つですが、力の加減を間違えてしまうと皮膚を傷つけてしまい、逆に皮膚病の原因になりかねません。ブラッシングは専用のスリッカー等を使用しましょう。

➁犬種や親の特徴を把握しておく

皮膚糸状菌症はかかりやすい犬種がいます。また、遺伝的に皮膚病にかかりやすいということもあるので、愛犬をお迎えする前に親犬等が皮膚病の子が多くないかなどをチェックしておくといざというときに準備ができるので安心です。長毛種の犬種は特にシニア気に皮膚病にかかりやすい傾向にあります。また、免疫不全の病気があると体全体の抵抗力が弱くなるので、注意しましょう。愛犬をお迎えする前の下準備も大事ですね。

③飼育スペースをきれいに保つ

飼育スペースを清潔に保つことはほかの病気の予防にもなりますし、飼い主さんと愛犬が快適に暮らすためにも重要な役割です。特に排せつ物をそのままにしておくとそこから菌が飛散してしまい感染源になります。また、冒頭でも紹介しましたが皮膚糸状菌症の感染源はフケや抜け毛です。日ごろから抜け毛を片付けて菌の繁殖を防ぐことが病気の予防にもつながります。

④普段の食事から免疫力の向上を!

上記で紹介しました「アガリクス茸」のサプリメントや栄養価の高い食事などを普段から積極的に取れ入れて愛犬の免疫力向上に努めることもとっても大切です。愛犬は飼い主さんが与えたもの以外食べることができませんので、愛犬の食事管理は飼い主さんとしての重要な役割の一つです。また、サプリメントのほかにも油分を抑えたドックフードは皮膚病の予防には効果的です。できるだけ添加物を使用していない自然食材を使用したドッグフードを若い時から与えることで、免疫力が高い強い体をつくることが可能です。普段の食事から気を付けていれば、シニア期に入った時も元気で過ごすことができますよね。

犬の皮膚糸状菌症のまとめ

 皮膚糸状菌症の主な症状や治療方法について紹介しました。皮膚糸状菌症は犬がなりやすい皮膚病で最もポピュラーな皮膚病といっても過言ではありません。しかし、なりやすいということは予防方法も多く存在します。日常生活にサプリメントを取り入れたり、ブラッシングにより皮膚の新陳代謝を促すことで予防が可能になります。本記事を参考に飼い主さんと愛犬が健康で元気にすごすために活用してください。

執筆者:國澤莉沙先生

國澤先生

経歴・プロフィール
愛玩動物飼養管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士等の資格を所持。

つくば国際ペット専門学校・ドッグトレーナーコースを卒業後、つくばわんわんランドの飼育員として5年間勤務。現在は主婦として、育児をしながら動物系の記事を執筆しております。猫・犬ともに大好きです。