疥癬症とは?愛犬が疥癬症になったときにできるケアを紹介【小動物看護士執筆】

犬の疥癬症とは?

執筆者:國澤莉沙先生

愛玩動物飼養管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士

飼い主のみなさんは疥癬というものを知っているでしょうか?動物病院の受診理由の中でも多いのが皮膚のトラブルです。

疥癬症はそんな皮膚病の一つであり、人にも感染する可能性がある感染性の皮膚炎になります。イヌセンコウヒゼンダニという寄生虫が原因で発生する疥癬症は特に犬に発症例の多い皮膚病ですが猫や狐、人にも感染報告がある皮膚病です。発症後は早急な治療が必要になります。

主な症状とは?

疥癬症で一番つらい症状は激しいかゆみです。さらにヒゼンダニが寄生することにより、噛まれた部位がカサブタになり、赤く細かい発疹が現れます。ヒゼンダニの数が多くなってくると眠れなくなるほどの激しいかゆみに襲われるため、強いストレスを受けることになります。

症状が重症化してくると脱毛や分厚いフケなどが発生して、皮膚が厚くなります。発疹を搔き壊してしまい、出血や膿がでてくるなどの症状がみられ、菌が入り込んでしまい二次感染を起こす危険があります。二次感染による発熱や嘔吐・下痢などの症状が出てくると完治まで時間がかかるので、早期のうちに対応することが大切です。

犬の疥癬症の原因

疥癬症の原因は冒頭で紹介したイヌセンコウヒゼンダニと呼ばれる寄生虫であるダニが原因です。別名ヒゼンダニ症と呼ばれています。感染した犬と接触することにより感染し、猫や狐など他の動物からも感染する危険があります。時にドッグランや動物病院などの他の犬が集合している場所では注意が必要です。

犬同士の接触により寄生したヒゼンダニは愛犬の皮膚の角質にトンネルを掘り、そこで産卵・出産をして数を増やします。角質層にトンネルを掘られることにより激しいかゆみを伴います。さらには皮膚の角質層に潜ってしまうとなかなか駆除することが難しくなってくるので皮膚に異常が生じた際には動物病院へ受診して疥癬症が診察してもらいます。

疥癬症になりやすい犬種

疥癬症は全犬種なる可能性があり、特になりやすい犬種というものはいませんので、愛犬家の方は全て注意が必要になります。さらには猫ちゃんにも感染する皮膚病ですので、ペットを飼っている飼い主さんは皆さん注意が必要になりますね。

通常皮膚病というと抵抗力の弱いシニア犬がかかりやすいということがありますが、疥癬症は若い犬もかかりやすいので、全年齢で注意しなくてはいけません。また、免疫系の疾患やクッシング症候群のある犬は特に注意が必要になります。

寄生虫は毛玉があったり、不衛生な被毛をしているとフケや皮脂がヒゼンダニのエサとなるため爆発的に増える原因にもなるため、定期的なシャンプーとブラッシングで被毛を清潔に保つことも重要です。

疥癬症の治療方法

疥癬症の治療はいち早く皮膚に寄生したヒゼンダニを駆除する必要があります。駆除薬を使用して愛犬の身体からヒゼンダニを駆除します。駆除薬にはいくつかの種類があり、皮膚に直接塗る外用薬や注射、内服薬など様々で動物病院の治療方針により異なります。愛犬の皮膚の状態にもより異なりますが、およそ2週間〜4週間前後投薬することで改善が見られます。

また、傷ついた皮膚の低下したバリア機能を正常にするために薬用シャンプーによる薬浴を併用して行う場合もあります。疥癬症の場合にはサルファシャンプーなどの薬用シャンプーを使用することが多いですが、獣医師の指示通りに薬浴を行うようにして下さい。

サルファシャンプーなどはネットショップでも購入可能ですが、自己判断で薬浴してしまうと悪化する可能性もあるので、自分での薬浴は控えた方が良いでょう。

免疫力アップのためにはサプリメントを!

疥癬症の予防のためにも丈夫な身体づくりは大切です。バランスの良い食事はなかなか大変ですが、ドッグフードだけでは取りづらい栄養素を手軽に補えるのがサプリメントになります。

犬用のサプリメントは様々なものが販売されていますが、特にオススメな食材は「アガリクス茸」を使用したサプリメントです。アガリクス茸には老廃物を吸着して身体からの排出を助ける効果が高いとされています。ビタミンやミネラルなど身体に必要な栄養素が豊富に含まれており、シニア期の健康維持にも最適です。

老廃物の排出を助ける機能が高まると身体の免疫力もアップして、新陳代謝が活発になり、健康な皮膚に導いてくれます。

疥癬症のときに気をつけたいこと

疥癬症を発症した場合に早く治るように気をつけたいポイントをまとめました。愛犬の症状緩和のために参考にして下さい。

①他の犬や飼い主さんへの感染予防を徹底する

ヒゼンダニが原因で感染する疥癬症は他の犬や人にも感染が心配される皮膚病です。人に感染した場合にも激しいかゆみがあり、発疹ができます。どちらも好発部位は手脚の付け根、横腹や背中、鼠蹊部などに多く見られます。

特に注意したいのは多頭飼いの飼い主さんは同居犬がすでに感染している場合もありますので、症状が現れてなくてもいっしょに動物病院を受診して診てもらうのが良いでしょう。感染した愛犬との接触を避けて完治するまでは別々に飼育することがポイントです。

飼い主さんとの接触を避けるこことは難しいので、感染した愛犬に触ったら着替えて消毒する、手洗いを徹底して行うなど接触した後の消毒を徹底します。

②飼育スペースを清潔に保つ

抜け毛やフケ、排泄物などはヒゼンダニのエサになるため増える要因になります。飼育スペースを清潔に掃除・消毒することでビゼンダニの感染拡大を防ぎましょう。

特に排泄物は他の病気の原因にもなりますので、トイレ周りは常に清潔に保つことが重要です。次亜塩素酸水などは舐めても安心な消毒液ですので、1つ持っていると様々なシーンの掃除に役立ちます。

③薬用シャンプーにて薬浴を

疥癬症で傷ついた皮膚をリカバリーする過程で薬浴は有効です。使用回数や放置時間、薬用シャンプーの種類は獣医さんから指定されたとおりに行うようにします。薬用シャンプーは殺菌性が強いので必要な菌まで洗い流してしまい皮膚の抵抗力を弱めてしまうこともあります。独自の判断で使用してしまうと逆に皮膚炎を悪化させることになるため、獣医さんの指示どおりに使用しましょう。

疥癬症にならないために、予防や日ごろのケアの3つのポイント

疥癬症について紹介してきましたが、できれば日常から予防をしてこれらの皮膚病を避けたいものです。日頃からできる疥癬症の予防についてご紹介します。

①感染した犬・草むらなどへの散歩は避ける

マダニなどが住んでいる草むらなどへの出入りは寄生虫がつきやすいシュチュエーションになります。ヒゼンダニは宿主の身体上でしか生きられませんが、宿主から離れても最長21日程度生きることが確認されているので油断は禁物です。

疥癬症の予防は感染した犬との接触をさけることにつきますが、マダニやノミを予防するためにも草むらなどへの出入りは避けましょう。

②トリミングサロンなどで被毛を綺麗に保つ

全ての皮膚病にいえることですが、被毛を清潔に保つことが皮膚病に最もこうかがある予防方法になります。健康な犬の場合、月に一度のシャンプーが理想的ですが、自宅で行う場合にはコツがいります。水を嫌がる愛犬も多いので、トラウマにならないように愛犬の様子を見ながら自宅シャンプーを進めます。

あまり自信がない飼い主さんはトリミングサロンなどのプロに頼むのが良いでしょう。プロにお願いすることで定期的に皮膚の健康チェックを行うことにもなりますし、社会科にもつながります。

他人に慣れておけば動物病院での診察やお出かけなどさまざまな面でお利口さんにしてくれるので、スムーズに進めることがでぎわ役に立ちますよ。

③クッシング症候群や他の病気を予防する

免疫力に異常があったり、クッシング症候群などのホルモンバランスが乱れやすい病気は疥癬症にかかりやすい体になります、

抵抗力を高めるために普段からバランスの良い食生活を心がけて丈夫な身体を作りましょう。また、適度な運動をして体力を維持することも大切です。サプリメントを利用して飼い主さんが栄養バランスを整えてあげることも大切ですよ。

心身ともに健康でいることが病気予防への第一歩になります。疥癬症は若い犬でもかかる可能性があるため、遺伝的なことはあまり関係がありませんが親犬などが病弱ですと抵抗力が弱い子が生まれてくる可能性があるため、様々な病気にかかるリスクがあります。お迎えする前に疾患を持った血統でないかチェックしておくといざという時にも慌てずに対処できます。

さらにはかかりつけの獣医さんを幼少期のうちに見つけることがポイントになります。疥癬症の治療にはいくつかのパターンがありますが、治療を長引かせないためには、信頼できる獣医さんと相談しながら治療にのぞむことがいちばんの近道です。

犬の疥癬症まとめ

犬の疥癬症について原因や予防法を紹介しました。疥癬症は激しいかゆみでを伴い、完治までに時間がかかる疾患です。バランス良く栄養素を摂取できるように飼い主が愛犬の食生活に気をつけてあげます。

また、他の犬や猫などにも感染が拡大してしまうので早めに疥癬症の原因であるヒゼンダニを駆除することが重要です。激しいかゆみで夜も眠れなくなってしまうので、症状が重篤化すると衰弱してしまい命の危険もある怖い疾患になります。

普段から愛犬とのコミュニケーションの方法としてブラッシングを取り入れて、愛犬の皮膚の状態を把握しておくと少しの異変にも気付きやすくなります。

ブラッシングはマッサージ効果もあり、皮膚の新陳代謝を促してくれるので古い被毛から新しい被毛への生え変わりを助ける役目もあります。さらには飼い主さんとのふれあいは愛犬にとってなによりの喜びです。信頼関係をうまく作りながら皮膚病を予防したいですね。

執筆者:國澤莉沙先生

愛玩動物飼養管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士等の資格を所持。

つくば国際ペット専門学校・ドッグトレーナーコースを卒業後、つくばわんわんランドの飼育員として5年間勤務。現在は主婦として、育児をしながら動物系の記事を執筆しております。猫・犬ともに大好きです。