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チワワがなりやすい皮膚病4つと予防する方法
執筆者:山之内さゆり先生
動物看護師、トリマー
小さくて可愛いチワワですが、その小ささと比例してといっても過言ではないくらいに弱い部分があります。
その弱い部分のひとつとして皮膚病があり、食事でコントロールできるものもあれば、生活環境から使用するシャンプーなど細かに管理しなければいけないケースも少なくありません。
そこで、ここではチワワに起こりやすい皮膚病の種類を4つについてと、それを予防するための方法についてご紹介していきます。
100%の予防は難しいですが、取り組むか取り組まないかで皮膚病になる確率もぐっと変わりますし、もし皮膚病を患ってしまっても症状の程度や治療の結果も変わってくることは間違いありません。
できるだけ、小さくてか弱いチワワが皮膚病で辛い思いをしなくても済むように、普段からできることをやっていきましょう。
この記事を読むことで、あなたはチワワが皮膚病になりにくくする方法を知ることができますよ。
チワワがなりやすい皮膚病4つ
皮膚病と一口にってもさまざまな疾患があり、当然すべての皮膚病は似ているようで確実に症状やケアの仕方が変わってきます。
当然、皮膚の状態からどんな皮膚病にかかってしまったかは素人で判断することはできませんし、治療や予防をする以上獣医師による診察が必要不可欠です。
とはいえ、チワワはいったいどのような皮膚病になりやすいのかを知っているだけでも、普段のケアで気をつけておきたい部分もわかるため、中でもチワワがなりやすい6つの皮膚病をまずはご紹介します。
・アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能の低下によって、アレルゲンが体内に侵入しアレルギー反応を引き起こす皮膚疾患です。
そのため、皮膚のバリア機能をアップさせることはもちろん、ホコリやダニ、ハウダストといったアレルゲン物質をできるだけ取り除いてあげることが重要になります。
アトピー性皮膚炎になると皮膚の炎症・湿疹・脱毛といった症状だけでなく、皮膚の免疫力も落ちているような状態なので、二次的な皮膚トラブルを引き起こすことも少なくありません。
季節の変わり目になると痒そうにしている、左右対象に湿疹がある、炎症と脱毛が見られるなどの異常を見つけたら、ひどくなる前に動物病院を受診してあげてください。
・ノミアレルギー性皮膚炎
皮膚病というと細菌や食べ物が原因で起こるイメージが強いかもしれませんが、実はノミアレルギー性皮膚炎もれっきとした皮膚病です。
しかも、これは飼い主の管理ひとつで確実に防ぐことができる皮膚病でもあり、同時にそこを怠る飼い主も多いために引き起こる皮膚病でもあります。
当然私たちのような動物を取り扱う仕事をしている人たちは、定期的な駆除予防をおすすめしています。
しかし、チワワといえば室内飼いでなかには散歩をする必要がないと間違った情報を鵜呑みにしているために、一歩も外に出ないから必要がないと本気で信じている飼い主もいる現実。
これがどういったことを意味するのかもうお分かりだと思います。
そうです。ノミダニの駆除予防を定期的にせず、チワワをそうした外部寄生虫からの危険に晒し続け、結果寄生を簡単に許してしまうのです。
これはチワワに限らずなのですが、それでも小さいチワワは室内から極力出さないという方針を持っている飼い主が多く、そのせいでノミの駆除予防意識が低いケースが多いです。
ですが、はっきりと言いますと室内でもノミの寄生は十分起こりえます。
仮に本当に一歩もチワワを外に出さないとしましょう。しかし、飼い主は毎日外出をしますよね。
ノミは人にもくっつきますし、靴の裏に卵が付着することもよくあります。
こうして人にくっついたり靴の裏に付着したノミやその卵はいとも簡単に室内に侵入し、室内でのんびり過ごしているチワワに寄生するのです。
また、ノミアレルギー性皮膚炎になるためには体量のノミが寄生しないと成り立たないと思っている飼い主もいますが、このアレルギーは寄生数は一切関係ありません。
ノミアレルギー性皮膚炎に限らず、アレルギーというものはその個体がどれくらいで反応を起こすかは、どれだけアレルゲンに対して許容量があるかによります。
つまり、ノミ1匹でもアレルギーを引き起こすチワワもいれば、5匹、10匹といった数で引き起こす子もいるのです。
このように、チワワは室内だから大丈夫という考えや数が少なければ問題無いという考えは通用しません。
・食物アレルギー性皮膚炎
食べ物に含まれるタンパク質がアレルゲンとなることで、強いかゆみや脱毛、炎症、下痢、嘔吐といった皮膚トラブルを引き起こします。
アレルゲンとなるタンパク質の摂取を避けることで食物アレルギーはコントロールできますが、対象となるアレルゲンを特定するには費用がかかりすぎるため現実的ではありません。
そのため、食物アレルギー専用の療法食を使った除去食試験を約1ヶ月ほど行ない、その結果アレルギー反応が出なければ食物アレルギー性皮膚炎としてアレルギー食を続けていくことになります。
除去食試験の最中はおやつなどは一切禁止でアレルギー食のみとなるので、普段おやつを与えている飼い主は辛いところがあるかも知れません。
しかし、ここをしっかりコントロールしなければ診断をすることもできず、アレルギー反応に苦しみ続けることにもなるため、獣医師の指示に従ってただしく段階的に進むことが大事です。
また、食物アレルギーと診断されたあとも引き続きアレルギー食でコントロールする必要がありますが、その場合は基本療法食のみとなります。
市販で売られているようなふりかけなどのトッピングはもってのほかですので、そうしたものに頼らなくてもいいように、普段から偏食させないようにしておきましょう。
・膿皮症
チワワは膿皮症に悩まされやすい犬種でもあります。膿皮症とは本来皮膚の上で共生している常在菌であるブドウ球菌が必要以上に増殖し、その結果皮膚に悪さをすることで発症する皮膚病です。
特に免疫力が低下しているとき常在菌が異常増殖しやすいため、抵抗力の弱くなっているシニアや基礎疾患を抱えている子、もともと皮膚の強くない子がなりやすい皮膚病でもあります。
症状としてはかゆみ・炎症・患部の脱毛(円形のクレーターのようなもの)といった様子が見られます。
膿皮症と診断されたら専用の薬用シャンプーで外側から増えすぎたブドウ球菌を減らすだけでなく、内服薬や外用薬を使って毎日少しずつ原因を治療していきます。
気付いた段階でできるだけ早く治療することができれば膿皮症の治療だけで済みますが、放っておけばかゆみ・炎症が増し傷口から二次感染を起こすこともあるため、頻繁に体の様子を気にする印象があれば早めに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
チワワがなりやすい皮膚病を予防する方法
チワワがなりやすい皮膚病として4つの皮膚病をあげましたが、そのうちのひとつの食物アレルギー性皮膚炎は体質的なものなので予防といった方法がありません。
ただし、食物アレルギーのような症状もなく現段階で特定の療法食を食べなければいけない疾患を抱えていないのであれば、食物アレルギーフードを今後に備えるという意味で日常食にすることはできます。
もちろん、療法食なので獣医師にその旨を相談し一度診てもらってからになるので、自己判断で購入して与えないようにしてください。
また、アトピー性皮膚炎は非常に難しくまずは生活環境を清潔に整えることはもちろん、皮膚のバリア機能を高めるようなケア(皮膚ケアに特化したシャンプーや保湿剤の使用)を徹底することが大事。
しかし、それでも体質的になってしまう子はなってしまうので生涯にわたってうまく付き合っていかなければいけません。
とはいえ、やはり普段から皮膚に配慮した食事や外部ケアをしているかそうでないかだけでも症状が出にくかったり軽減されたりするため、ぜひ工夫してケアしてあげましょう。
この時点で食物アレルギー性皮膚炎とアトピー性皮膚炎の予防対策についてお話ししていますが、正直予防という予防は難しいというのが結論です。
膿皮症は専用の薬用シャンプーを日常ケアとしても使えることがあるため、それを使い続けることで健やかな皮膚状態を維持することはできます。
また、膿皮症が治ったから治療前のケア方法に戻すとしばらくしてまた症状がでてしまったという子も少なくないため、体質によっては予防として専用の薬用シャンプーを使うことも必要です。
このように皮膚疾患はとても複雑な病気ですが、唯一絶対予防になるといえるのがノミアレルギー性皮膚です。
ノミアレルギー性皮膚炎はノミが感染し吸血された際のノミの唾液に反応してアレルギー症状を引き起こすもの。
ですから、ノミの感染・吸血を防ぐことができればノミアレルギー性皮膚炎になることはないため、季節や室内・室外に限らず月に1回の定期投薬をすることが最大の予防になります。
チワワがなりやすい皮膚病4つと予防する方法まとめ
今回はチワワが鳴りやすい皮膚病4つと予防方法をご紹介しましたが、ノミアレルギー性皮膚炎以外は特別な予防法というよりは上手に付き合わなければいけなかったり、予防として専用のケアアイテムを使うといったのが現状です。
特にアトピー性皮膚炎や食物アレルギー性皮膚炎は体質によるものなので、予防で防ぐことができるというものではありません。
しかし、療法食や薬でコントロールすることで症状を抑えたり軽減することはできるので、辛い思いをさせないためにも痒そうにしている様子が見られたらすぐに診察して適切な治療を受けさせてあげてください。
ですが、一方でノミアレルギー性皮膚炎はノミの駆除予防を通年行うことで防ぐことができるもの。
室内だから大丈夫、外にあまり出ないから大丈夫、と油断をしていると思わぬところでもらってくることになるため、どこで過ごしていようとも必ず定期的な予防薬の投薬をしてあげましょう。
皮膚病は命を脅かす病気ではありませんが、かゆみが大きなストレスになり傷口から二次感染を起こしたり、かゆみが痛みに変わって攻撃的になってしまうこともあります。
そうすると、精神的に削られて飼い主も犬も辛い日々を送るくと人なるため、いつもと様子が違うと感じた時点で早めに動物病院へ連れて行ってあげてくださいね。
執筆者:山之内さゆり先生
トリマー、動物看護士
約10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。
現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。