愛犬がアカラス(ニキビダニ症)になったときの3つのケアするポイント【小動物看護士執筆】

執筆者:國澤莉沙先生

愛玩動物飼養管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士

犬のアカラスについて

犬の皮膚疾患にはさまざまなものがありますが、アカラスと呼ばれる皮膚炎を聞いたことはあるでしょうか?なかなか難しそうな病名ですが別名ニキビダニ症と呼ばれており、体長0.3ミリ前後の寄生虫が原因で起こる皮膚疾患です。ニキビダニは毛包に巣食うことから毛包虫とも呼ばれており、母犬が寄生されている場合子犬もまたニキビダニに感染します。必ずしも感染しているからと言って、アカラスを発症するわけではなく免疫力が弱まったり、身体の衰弱が見られると活性化してアカラスを発症します。

主な症状とは?

アカラスに感染すると初期症状として手脚の先端や鼠蹊部、脇腹などに脱毛が見られます。2〜3センチの小規模な脱毛から始まり、つるんとした円形の脱毛が増えるのが特徴です。また、ニキビダニが異常繁殖することにより、毛包が傷つき膿疱など湿疹が現れます。さらには不快感やかゆみから愛犬が皮膚を搔き壊してしまうとそこから感染症を起こして二次感染を引き起こして、傷口から出血や膿が流れるなどの症状が見られます。

重症化すると食欲不振や嘔吐・下痢などの症状も見られストレスによる不眠や神経症状などの危険な症状も見られるようになります。

犬のアカラスの原因

アカラスの原因は冒頭で紹介したニキビダニが異常繁殖することによる皮膚炎です。元々ニキビダニに感染していても発症しないケースも多く、免疫力の低下や他の病気が原因でアカラスを発症することがあります。甲状腺機能低下症などのホルモンバランスが崩れてることが原因で、肌のバリア機能が低下してしまいアカラスになる場合か多いです。このように他の病気が引き金の場合には、アカラスが完治するまでの時間もかかるので元になっている病気の治療も併せて行う必要があります。

アカラスは母犬から母乳を通して感染することがほとんどであり、感染している犬との接触しただけでは移ることはないと言われています。また人に感染することもありません。母犬のように過度な接触をしなければアカラスが移ることはありません。仮に感染していたとしても、上記のようなきっかけがないとアカラスになることはほとんどなく、別の病気や皮膚炎を併発していることが多いです。

アカラスにになりやすい犬種

アカラスは母犬が持っていれば誰でも感染する可能性がある皮膚炎ですが、特にパグやフレンチ・ブルドッグなどの顔にしわが多い犬種がかかりやすい傾向にあります。また、不衛生な飼育環境や湿気の多い場所にいるとニキビダニが増えやすい環境になります。

また小型犬ではマルチーズ、チワワ、トイ・プードル、ボストン・テリア、中型犬では柴犬やシャーペイ、大型犬ではグレート・デーン、ラフ・コリー、グレー・ハウンドなどがあげられます。

アカラスの治療方法

アカラスの医療は殺ダニ剤や抗生物質を使用してアカラスの数を減らしつつ、肌の環境を整える治療を行います。皮膚の状態によっては複数の抗生剤を使用して治療しますので、獣医さんに相談して治療方針を決めましょう。また、皮膚の炎症が引いてきた場合には駆除したニキビダニの死骸を洗い流す目的と皮膚のバリア機能を復活するために薬浴を行います。サルファシャンプーやマラセブシャンプーを使用して皮膚を清潔にするために薬浴を取り入れることが多いですが、自己判断で薬浴することは避けてください。悪化したり、ニキビダニが駆除しきれない可能性もあります。

免疫力アップのためにはサプリメントを!

アカラスは免疫力の低下が原因で起こることが多いので、老廃物を身体から出すサポートに適した「アガリクス茸」を使用したサプリメントはオススメですよ。アガリクス茸は栄養価も高く、腫瘍や皮膚病にも効果が期待できます。ビタミン・ミネラルが豊富ですので、病気の予防だけではなく健康な身体づくりをサポートしてくれます。普段の食生活だけでは取れない栄養素をサプリメントで上手に補いましょう。

若い時から定期的に摂取して身体の免疫力を高めておけば様々な病気に対応できますね。

アカラスのときに気をつけたいこと

アカラスを発症した場合に早く治るように気をつけたいポイントをまとめました。愛犬の症状緩和のために参考にして下さい。

皮膚や傷周りを清潔に保ちましょう。

アカラスが異常に繁殖した肌は、皮脂や角質が大量に発生してフケなどでカピカピになることもよくあります。これらの汚れはニキビダニのエサになり、感染症の原因にもなります。ブラッシングや傷口を綺麗に消毒して保護してあげるようにしてニキビダニが増える環境を作らないようにしましょう。

ブラッシングは皮膚の状態によっては刺激になってしまい、肌に悪影響を及ぼす場合もあるので、かかりつけの獣医さんに確認してから実行するようにするとあんしんです。

他の皮膚炎等原因の根治を!

アカラスが他の病気から来ている場合には、原因となっている病気の根治を目指します。甲状腺機能低下症などはアカラスを招きやすい病気ですが元気がなくなる、太る、散歩に行きたがらないなど老化が原因で現れる症状にも似ているため、判別が難しく発見が遅れることもある病気です。ホルモンの値を血液検査に出せばすぐにわかるの病気ですが早期発見がアカラスを早く治すカギにもなります。

普段からかかりつけの獣医さんに気になる点を相談しておき、少しでも異常を感じたら早めに受診するようにしましょうね。

ステロイド剤の使用は獣医さんと相談します。

筆者の飼っているゴールデン・レトリーバーの場合ですが、甲状腺機能低下症の影響でアカラスになったことがあります。 皮膚の炎症がひどかったのでステロイド剤で炎症を抑えながら治療をしていましたが、アカラスはステロイド剤の影響で活性化してしまうこともあるようで、逆に症状が悪化する可能性もあります。非ステロイドの抗生物質に変更したところ症状が落ち着きました。そのため使用する治療薬は獣医さんと相談しながら使用するようにしましょう。ステロイド剤が悪影響にならずに有効に作用するケースもあるようなので、愛犬の状態を見ながら決めましょう。

アカラスににならないために、予防や日ごろのケアの3つのポイント

アカラスについて紹介してきましたが、できれば日常から予防をしてこれらの皮膚病を避けたいものです。日頃からできる膿皮症の予防についてご紹介します。

バランス良く食事をとる

アカラスは身体の免疫力が低下してしまい、皮膚のバリア機能が落ちることが原因で起こりやすくなるため、普段からバランスの取れた食事を摂取して丈夫な身体を作ることが最大の予防になります。

ドッグフードはなるべく添加物をさけて自然食材を使用したものにします。また、防腐剤を使用したものや賞味期限を伸ばすためにオイルコーティングされているドッグフードは胃腸への負担も大きいです。オイルコーティングされたものはカロリーも高くなりますので、肥満の原因にもなります。愛犬の好みと照らし合わせて最適なドッグフードを提供してあげましょう。

飼育スペースを清潔に

抜け毛や餌の食べ残しが飼育スペースに残っているとニキビダニが増えやすい環境になります。また、夏場や梅雨時期などの湿気のこもりやすい時期には特に注意が必要です。被毛にふけが出ないように定期的にブラッシングをして新陳代謝を促してあげるのが効果的です。

飼育スペースを清潔に掃除することは他の病気の予防にもなります。愛犬が快適な環境でリラックスして過ごせるようにしましょう。ストレスもさまざまな病気を引き起こすため予防は大切です。

他の皮膚炎を予防する

サプリメントで栄養補給したり、ブラッシングや定期的なシャンプーで皮膚を清潔に保ちアカラスを予防するように心がけます。また、梅雨時期や夏場などの湿気が多い季節は特に注意が必要です。トリミングサロンにてサマーカットを行い、被毛の換気を促すことも有効ですよ。

特に長毛の犬は毛玉ができると菌が繁殖しやすくなります。母犬がアカラスを発症したことがある場合には、アカラスは間違いなく保持していると思われるので、免疫力を低下させないように注意しましょう。アカラスは必ずしも発症するわけではなく身体の抵抗力が弱まるとはっしょうしやすくなります。特に子犬やシニア期の間は注意しましょう。

犬のアカラスまとめ

犬のアカラスについて原因や予防法を紹介しました。アカラスは他の皮膚病と併発しやすい疾患で完治までに時間がかかる疾患です。バランス良く栄養素を摂取できるように飼い主が愛犬の食生活に気をつけてあげます。免疫力をアップさせるために適度な運動となによりも飼い主さんとのコミュニケーションでストレスを溜めないことも大事になります。

また、犬が皮膚炎になりやすい、夏場などの湿気が多くなる前にサマーカットなどの対策しておくことでアカラスの予防することができます。愛犬は飼い主さんにブラッシングされることが大好きです。愛犬とのふれあいを楽しみながらブラッシングをしてステキなドッグライフを過ごせれば自然とアカラスも予防できますね。

アカラスが出やすい子は体質にもより異なります。完治したと思ったら再発することも多い疾患であり、長い目で付き合っていくことが必要になります。長くアカラスに感染している場合でも、初期症状のうちに対処出来れば悪化することもなく小康状態を保つことができます。

また、全ての子が発症するわけではなく、抵抗力が弱った際に発生する皮膚疾患になります。皮膚のバリア機能を落とさないようにバランスのとれた食事と適度な運動を心がけて健康的な生活を送りましょう。サプリメントなどをうまく活用すると良いでしょう。アカラスでお困りの飼い主さんの参考になれば幸いです。

執筆者:國澤莉沙先生

愛玩動物飼養管理1級、ホームドッグトレーナー1級、小動物看護士等の資格を所持。

つくば国際ペット専門学校・ドッグトレーナーコースを卒業後、つくばわんわんランドの飼育員として5年間勤務。現在は主婦として、育児をしながら動物系の記事を執筆しております。猫・犬ともに大好きです。